以前、管理者養成学校のことについて書きましたが、前に勤めていた会社が管理者養成学校基礎訓練コース「地獄の訓練13日間」を有り難いことに私に体験させてくれました。
営業という職種は1ヶ月単位で仕事の成果を上げなくてはならないのが世の常だと心得ておりますが、その1ヶ月の内の半月をこの研修に参加せよという会社の意図は、表向きは社員教育ですが、
そもそも「地獄」と名の付く研修に会社の経費を使って、「参加させていただきありがとうございます!」なんて思っているヤツなんて一人もいませんでした。
社員の間では、もっぱらリストラ目的の研修だというのが常識で、成績不振者や上司から嫌われている者が送られるという、言わば恐怖政治ではないかと評判になっていました。
私が「地獄の訓練13日間」に参加した時の班は、同じ会社の人間で8人でしたので、まだ馴染みやすさもありましたし、やりやすかったです。
通常の班は異業種のぜんぜん知らない人達との研修となります。
けっこう人見知りするほうなので、こういう班に入れられると辛かったことでしょう。
その点、うちの班の8人の内、4人は基礎訓練コース「地獄の訓練13日間」を1回は経験したことのある人達(中には3回目という常連がいました)だったので、研修内容のことはわかっているし、前回研修を受けた時の体験談も聞くことが出来たので、少しは心構えも出来ました。
しかし、そんな研修経験者もいて、同じ会社の同僚たる人間同士の班にあって、ちょっと腑に落ちない事もありました。
それは、研修の1日目の入校式の後、同じ班の人間で「地獄の訓練13日間」経験者の若い子が、何故か人のやること、なすことを、やたら注意してくるのです。
研修期間中はルールがあって、その一つに部屋への入室の際の掛け声。
部屋に入る人は「入りますっ!」、部屋の中にいる人は「どぉぞっ!」と言わなければならないのですが、その声が小さいとか、礼の仕方が悪いとか・・・
自分より年下の人間に、靴の脱ぎ方やそろえ方まで注意された時には、「いったい何なん?」と、ちょっと怒りの感情が走りました。
なんで、そんなに注意されなければならないのか?その答えがその日の夕方には分かりました。
班の部屋には、チェックシートが壁に貼られるのですが、研修項目の進捗具合などを毎日そのシートにチェックしていくことになっていて、そのシートの項目に“注意した回数”を付けるところがあるのです。
「それでかぁ・・・」すべての謎が解けました。
て言うか、そういうのがあるの知ってんなら教えろよ!同じ会社の同じ班になった仲間なのに、なんでそういうこと先に言わないかな?と、また怒りの感情が走りました。
管理者養成学校なので、管理者として注意することも仕事の内と言う事で、1日に“注意した回数”も見られるのはわかりますが、自分の点数稼ぎのためにやたらと人の行動を見ていたのかと思うと、なんとも人間不信になりました。
班の人間全員が、そのことを知っていて、お互いの悪いところを指摘するならまだ、飲み込めますが、先に研修内容を知っているという有利な立場から言われたから、出し抜かれた気持ちで腹が立ちました。
組織の中では出し抜くヤツほど出世はうまいですが、そういうヤツが果たして部下から尊敬して慕われているのか?逆に組織のぬるま湯に安心していると、出し抜かれて蹴落とされると言う事なのか。
ちょっと大げさかもしれませんが、管理者養成学校基礎訓練コース「地獄の訓練13日間」の体験が10年余り経った今も記憶に甦ってくるのは、これまでの人生の中でも、ちょっと無かったイベントだったからかもしれません。